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周期律表から考える原発事故 その3
2013/04/05 01:48 | 周期律表
こんにちは。
「その2」に続きまして、また書かせていただきます。

まず、「その2」で書きましたように、おすすめのご本があるのですが、これ、私の大好きな本なんです。
学生時代の教科書だったのですが、ずっと大切に使っていて、もうぼろぼろになってしまいました。
初等化学結合論 G.I.ブラウン著 培風館

初等化学結合論

この本は、初版からかなり年数がたっているのですが、調べたところ、今でも評判良いみたいです。
以前、化学の勉強に悩みのあった後輩に貸したところ、やっぱりすごく気に入っていました!

セシウムの化学的性質に興味のある方には、基礎的なところの理解という点で、特にお勧めいたします。
カリウムとの違いも、理論立てて数値的に説明しているところがあり、多分これをきちっと理解できれば、まず、きちんとした考慮をすること無く混同したりすることは無くなると、私は思います。

(追記:具体的には、例えば、イオン半径、イオン化エネルギー、塩化物の結晶構造の違いなど。図書館に置いているところもあるみたいです。 この記事ではこの本を、参考文献1 と、させていただきます。)

あー、最近出版されたものとかは、全然チェックしていないんですが、またいろいろ時間があるとき調べますね、もし良いものあったら、またお知らせしたいです。

さて、「その2」の続きで、またちょこっと比喩的なお話をさせていただきます。
セシウムの電子配置を、マンションに置いた二人掛けのソファーを使って、説明させてもらいましたよね。

あれの続きなのですが、「その2」のFig.3をちょこっと変えた図を使うことにします。
sタイプの部屋には、二人掛けソファーが1個、
pタイプの部屋には、3個、
dタイプの部屋には、5個でした。
ソファーをたくさん置きたいので、pタイプとdタイプの部屋を少し大きく書かせてもらいます。

そして、中に入る人、を、電子に見立てて、記号で表してみます。
よく、人を略した記号で書きますよね、あんな感じで、電子を表す矢印を使いますね。
こんな風です。
yajirusi

そうしますと、セシウム原子の電子配置は、Fig.10のようになります。
taranome_fig10
二人掛けのソファーには、二人の人(二つの電子)が入ります。(fタイプの部屋~f軌道~は今回は省略してあります)
これ以降は、「部屋」や「二人掛けのソファー」を、「軌道」と呼ばせていただき、「人」で例えるのはもうやめて、「電子」と言わせてもらいますね。
緑の一番下のところ、2p軌道は、三つの軌道からなっており、それぞれ2p、2p、2pと名前がついています。(d軌道の中の5個の軌道にも、それぞれ名前があります)
それぞれに二つずつ電子が入っていますが、矢印が逆向きに書いてあるのにも意味があります(今は省略します)。

ここらへんで、きっと、とっつきづらくなってきたと思われる方がいますよね、、、でもそんなことないのです。
私はすごく正確には書けないのですが、この軌道の形がとっても面白くて、ネットで検索したりすると、面白い図形がたくさん出てきて、わくわくしてしまうのですよ~~~
試しに、d軌道 とか、f軌道 とか、検索してみてくださいよ~~~
とっても癒されるホワンホワンした形がいっぱい出てきますから!
s軌道と、p軌道は、検索していただいたらわかりますが、とっても単純な形で、すぐ真似して書けますよー。

私は学生のころ、この軌道の略図を描くのが、大好きで、実験は下手くそだったのですが、図は大喜びで書いていました。(いばれません)
慣れてくると、混成軌道っていう更に上級の軌道の略図も描けるようになり、結構楽しいのですよー(はー。。。学生時代は楽しかったなあ。。。)

話がそれてしまいましたが、セシウムが、金属だというのは、いろいろなところで聞くお話ですよね。
金属は、電気を通す性質がありますが、Fig.10の6s軌道の電子は(一番上の階に一人で居る電子です)、遊離して自由に移動することができるという性質があります。
試しにこの電子がいない状態を考えますと、Fig.11の様になりますよね。

taranome_fig11

こんな風に、一番上の階に、8個の電子がある状態は、すごく安定していて、こういう状態になりたがる性質があります。
この電子配置は、セシウムイオン(Cs)の電子配置ですし、同時に、一つ原子番号の少ない、キセノン(Xe)原子番号54、の電子配置でもあります。
キセノンみたいに、一番上の階に8個の電子がある元素は、周期律表では、一番右に居て(ヘリウムだけは、一階が2個で満タンになって安定になるので、2個で一番右に居ますが)、希ガスと言ったり、18族元素と言ったりするそうです。
「その2」Fig.2の、原子番号2、10、18、36、54、86 の元素が希ガスです。

(あーここで、ジェネレーションギャップが。。。私が学生の時は18族なんて言ったかしら??まあいいか。)

「その2」Fig.2の、一番左の列は、一つ電子が減れば安定な「希ガス」と同じ電子構造になるので、一つ電子を減らしたイオンになりやすく、「アルカリ金属」と言われています。
よく、カリウムもセシウムもアルカリ金属だ、と言われますよね。
カリウムの電子配置は、Fig.12です。同じように、最上階に一つだけ電子があります。
taranomefig12
カリウムも、一つ電子を放出すれば、安定な希ガス、アルゴン(Ar)(原子番号18)と同じ電子配置になれますから、そうなりやすく、イオン(K)になった状態は、下の、Fig.13です。
taranome_fig13

体内にあるセシウムやカリウムのことを考えるときは、私はまず、イオンの状態を想定しようと思います。
Fig.11と、13を比べてみてください。
最上階は同じ8個の電子があります。
そこが性質が似ているといわれるところと関係があります。
だけど、セシウムのほうが、電子を圧倒的にたくさん持っています。

先にあげさせていただいた参考文献1の、「イオン半径」(またはウィキペディアの、イオン半径の項のポーリングのイオン半径)のデータを参照しますと、
セシウムイオンは、カリウムイオンより、でかい んです。

イオンのことをちょこっと書きますと、CsやKなどは、もともとは、原子一個の全体で考えたら、プラスでもマイナスでもない(中性の)状態だったのですが、Csとか K は、マイナスを帯びた電子が一ついなくなってしまっているので、中性(プラスでもマイナスでもない状態)から一つプラスに偏った状態になっており、一価の陽イオン、とか、一価のカチオンとか言います。
セシウムイオンも、カリウムイオンも、電子一個なくなった分だけ、プラスに偏った電荷をもっていますので、同じ一価の正(プラス)の電荷を持っていることは同じなのですが、セシウムイオンは、大きいイオン一つに、カリウムイオンは、それに比べて、大きさが小さいイオン一つに、同じ量のプラス電荷を持たなくてはならない状態にあります。

イオン半径の具体的な数値は、
カリウムイオン 0.133nm 
セシウムイオン 0.169nm (nmは、ナノメートルという長さの単位で、1nmは、10億分の1メートルです)
で、その比率は約 1.00:1.27 です。
イオンの形は、全くの球という想定ではないそうなのですが、もし、この比率をボールに例えると、体積の比率にするには3乗するわけですから、約 1.00:2.05 となり、もしボールだったら体積2倍くらいです。
体内にセシウムイオンが取り込まれたときに、どのような挙動をするか、ということを考えたときに、実際にイオンの大きさ、というのは、様々に影響してくると思います。
なぜかといいますと、立体化学の分野ですとか、キレート化学の分野では、大きさの違い、という事がとても重要な要素として扱われているからです。

ここまで読んでくださった方(ありがとうございます)は、もしかしたら、この人はどうして、「セシウムとカリウムの違い」にこんなにこだわるのだろう?と思われる方もいると思います。
理由は初めに説明した通りなのですが、実は学生の時に、こんな経験をしています。

お世話になっていた研究室で、セシウム化合物を実際に扱っていたのです。
そういうこともあって、私の在籍していた学科では、セシウム化合物とカリウム化合物の違い(有機反応の触媒として)を知ることができる、学習会のようなものがありました。(ナトリウムも。)
具体的には、有機環化反応の触媒として、セシウム化合物を使うと、カリウム化合物と格段の差が表れる、といったものです。
ウィキペディアの「セシウム」の項の化学的用途のところにもちょこっと出てきていますねー。
セシウム化合物は、カリウム化合物やナトリウム化合物より、値段が相当高いのです。
値段の高いものをわざわざ使う、ということは、そうしてまで得る価値のある、結果の差があるということです。
そのときの内容をはっきり覚えていたので、その時の感覚では、「混同して考える」ということ自体が、びっくりするくらい違和感のあるものなのです。
違う元素なのだから、有機物の反応に与える影響が違うのは当たり前、さすがセシウムイオンは大きいだけある、そう思った記憶が(笑)。
人体における挙動は、人間には列挙しつくせないほど、たくさんの、物質と物質との間の相互作用の集積であって、決して単純なものではないはずです。

化学的挙動が同じでない以上、人体中のどこで崩壊するか(どの場所でβ線を出すか)は、カリウムとは同じではない、そして、β線の飛距離はγ線に比べてずっと短いですから、場所の影響を大きく受けるということです。

また、体内で、実際にセシウムからβ線などの放射線が発生するときに、周りに何が(どんな物質が)ありますか?ということが、とても気になってしまうのです。
なぜかというと、世の中には「放射線増感剤」というものが存在しており、放射線を受けた時のダメージが、周りに何があるかによって左右される、という現象があります。
今まで、その分野で、いろいろな物質の存在下で、放射線を受けた時のダメージが変わるという実験結果を、講習会や学会などで目にしていたので、何ベクレルセシウムがある、だけではなく、どこにある、周りに何がある、ということがとても気になってしまうのです。
(「放射線増感剤」って、あまり一般には聞きなじみのない言葉ですが、ご興味があったら、ネットで検索などしたり、周りの詳しそうな方に聞いてみていただけたら嬉しいです。)

こういった理由で、私は原発事故の後、急に目につくようになった、「カリウム40がどうこうだから心配ない」の様なご意見を見るたび、「あーあ・・・」と思ってしまいます。

これについては、他にも考えることがあります。
今とても全部は書ききれないので、またいつか、別の記事で書かせてもらいたいです。

お読みいただきありがとうございました。(この記事は2013年4月15日に、書き終わりました)

その2
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