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ストロンチウムの体内挙動について調べた事(1)
2016/01/06 23:39 | ストロンチウム | C:0 | T: 0
ストロンチウムが人の体の中でどのような挙動をするかということに興味があり、調べています。
これは出てきた情報をメモした記事です。

若い方は特に、その中でも特に女性は、次の世代のことを考えて、なるべくとらない方がいいなあという印象を受けました。

また、排出については50歳以上の女性は、排出速度が増加すると書いてある部分があり、興味深かったです。

これだけではまだ全然調べたらないのですが、あまり長くなっても収拾がつかないので、とりあえずいったん記事にします。

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以下 「ストロンチウム 体内濃度」 というキーワードでグーグル検索した結果得られた情報のいくつか

食品安全委員会の資料
第 4 回 放射性物質の食品健康影響評価に関するワーキンググループ
資料種別:会議資料
開催日:2011(平成23)年5月25日
資料5:ストロンチウム知見とりまとめ(案)
https://www.fsc.go.jp/fsciis/
より、自分の勉強のために、自分の興味のある部分だけコピーさせていただきました。この様な資料を公開してくださりありがとうございます。せっかく資料が公開されているので、ご興味ある方は是非、元のファイルを見てみてください。
(この資料は、案と書いてありますが、案でないものは見つけることができませんでした。)


(5)体内動態
①吸収
塩化ストロンチウムを経口摂取、もしくは食事によってストロンチウムを摂取した健常人及び病院患者について、ストロンチウムの吸収率が評価されてきた。経口摂取したストロンチウムと静脈内投与したストロンチウムを血漿ストロンチウム濃度-タイムプロファイルを測定(バイオアベイラビリティ)、もしくは摂取総量と便中への排泄量の差を測定(バランス)することで吸収が定量化された。まとめると、経口摂取されたストロンチウムの20%(range, 11 ~28%)は消化管から吸収されることがこれらの調査結果から示された。

Vezzoliら(1998)は 成人男女における血漿ストロンチウム-経時曲線下面積を比較し、有意差がないことを示した(male, 10.6±0.6 mmol/L-minute; female, 9.3±0.6 mmol/L-minute)。被験者は健康な年齢をマッチさせた男女のグループ(male, 15; female, 12)と、シュウ酸カルシウム尿路結石を持つ normocalcuric 患者のグループ(male, 29; female, 18)を含む。この調査では静脈内投与の曲線下面積が測定されなかったため、吸収率は評価されなかった が、男女間で実質的な吸収の差がないことが結果から示された。妊娠や授乳のようなカルシウム要求量の増加がみられる生理状態の時は、この結論は有効ではないのかもしれない。カルシウムの吸収はこれらの生理状態でより高く、動物実験でストロンチウムの吸収も同様に高くなりうることが示されている (Kostial et al. 1969b)。一般的に、ストロンチウムとカルシウムの両元素が共通の吸収メカニズムを持つことから、成人においてストロンチウムの吸収はカルシウム吸収の良い指標であると考えられている(Bianchi et al. 1999; Blumsohn et al. 1994; Milsom et al.1987; Reid et al. 1986; Sips et al. 1994)

幼児と小児を対象とした調査で、食事由来ストロンチウムの約 15~30%が吸収されることが示され、これは成人で評価された値と似ていた(Alexander et al. 1974; Harrison et al. 1965; Kahn et al. 1969a; Sutton et al. 1971a)。
加齢に関連したストロンチウム吸収の変化はヒトを対象とした調査では判明しなかったものの、加齢に関連したストロンチウム吸収の変化はラットで観察されており、ヒトでは新生児時期にストロンチウムの吸収増加の可能性が示唆 されている。塩化ストロンチウムとして 1.4 mgのストロンチウムを単回経口投与された成熟オスラットは投与量の 19%(±5, SD)を吸収した(Sips et al.
1997)。この値はヒトで報告された値と似ている(Sips et al. 1995, 1996)。

しかしながら、ラットにおいて幅広い日齢層で吸収が評価され、15 日齢で投与量の 85%が吸収されていたものが、89 日齢以上では 8%まで減少することがわかった(Forbes and Reina 1972)。これら 2調査の差は方法の違いを反映するのかもしれない。

ストロンチウムの吸収率はラットの授乳期間で上昇が見られる。授乳開始後14~16日の間に飲水中に塩化ストロンチウムの形状で85Srのトレーサー投与されたラットは、授乳していない、同じストロンチウム投与量の対照ラットより2倍量多くストロンチウムを吸収した。対照群では5%であったのに対して、授乳ラットでは投与量の 11%が吸収された(Kostial et al. 1969b)。この実験では曝露開始後 3日目の骨格、尿、児動物における投与量割合として吸収が評価された。


②分布
ヒトの体内における吸収されたストロンチウムの分布はカルシウムと似ており、総体内負荷量の約 99%が骨格中に存在する。安定ストロンチウムの骨格負荷量はヒトの剖検骨サンプルの解析から評価されてきた(Herring and Keefer 1971a; O’Connor et al. 1980; Papworth and Vennart 1984; Tanaka et al. 1981)。日本の成人男子で骨格負荷量はカルシウム 850 gに対して、ストロンチウムは約 440 mgであると評価された(Tanaka et al.1981)。

Papworth と Vennart(1984)はヒトの骨組織における 90Sr 濃度及びカルシウム濃度と、1955 年から 1970 年までの期間における英国国民の食事に関する公表データを解析し、食事による 90Sr の摂取の約 4.75%が成人骨格に取り込まれていると結論づけた。皮質骨の 90Sr 負荷量の約 7.5%が毎年骨から排出される(約 9.2 年の排出半減期に相当する)。骨梁からの排出率はこの値の約 4倍である。同じ解析で年齢によって変化するストロンチウムの骨格取り込みが、骨の成長率が他の年齢に比べて高い幼児期と青年期において、最大で約10%という値を得た。

カルシウムとストロンチウムの骨分布に関する小さな違いが報告されているが、ストロンチウムは骨容量に比較的均一に分布し、そこではヒドロキシアパタイトのカルシウムとやりとりが行われる。骨の Sr:Ca の濃度比は生誕時における約 0.3 mg/g Ca から成人の 0.5 mg/g Ca まで、年齢と共に増加する (Papworth and Vennart 1984; Tanaka et al. 1981)。骨の Sr:Ca比は骨のタイプによって多様性を示す。皮質骨の比率は骨梁での比率より約 10~20%高 い(Tanaka et al. 1981)。


血液中のストロンチウムの分布はほとんど調査されていない。血液バンクから入手したヒト血液の赤血球画分と血漿画分のストロンチウム濃度は赤血球画分で 7.2 μg/L、血漿画分で 44 μg/Lであり、血液中のほとんどのストロンチウムは血漿に存在することを示している(Olehy et al. 1966)。100人の被験者(健康状態は不明)の血清ストロンチウム濃度は 53 μg/Lで、血液バンク血
清の報告値と近似していた(Skoryna 1981b)。ストロンチウムはヒト血清中でタンパク質に結合する。しかしながら、ストロンチウムが結合する特異タンパク質は特定されていない。

妊婦の骨格に含まれるストロンチウムは妊娠期間で胎児に移行され得る。プルトニウム生産プラントからの放射が原因でストロンチウムに曝露した Techa 川エリアの居住者の調査では、ストロンチウムの胎児への移行の証拠が示された(Tolstykh et al. 1998, 2001)。胎児:母体の移行率(胎児と母体の骨格中の 90Sr(Bq/g Ca)比)は妊娠前に曝露した 6被験者とその 7死産児について測定された(Tolstykh et al. 1998)。移行率は 0.012 から 0.24までと幅広く、より高い値は成人期で曝露した母体に関連し、より低い値は小児期または青年期で曝露した母体に関連していた。この差異は妊娠時期における母体のストロンチウム負荷量を反映せず、活発な骨成長期間で皮質骨に沈着したストロンチウムのより低い有効性を反映しているのかもしれない。
動物を用いた実験では、ストロンチウムが胎盤を通して胎児に移行されることの更なる証拠を示す。胎児は胎児の骨格形成時にストロンチウムを蓄積し始める。マウスで、胎児骨格の骨化はおおよそ妊娠14日目に始まり、この時期に胎児のストロンチウム負荷量が増加し始める(Olsen and Jonsen 1979)。
妊娠の異なった段階でストロンチウムが投与された妊娠マウスの実験で、胎児のストロンチウム負荷量は妊娠14日目で母体に投与した場合、投与量の0.7% であるのに対して、妊娠18日目では投与量の4.5%であった(Rönnbäck 1986)。
すなわち、母体への投与が最大骨格成長時に行われる時、胎児への移行は最も高かった。同様の結果がラットでも得られている。胎児骨格の骨化が始まる16 日目もしくはそれ以降に母体への投与が行われた場合、胎児によるストロンチウムの取り込みは最も高い(投与量の 1~2%)(Hartsook and Hershberger 1973; Wykoff 1971)。妊娠末期の胎児のストロンチウム分布は、
大部分のストロンチウム負荷量を骨格中に保有する母体の分布と似ている。マウスで、骨格(長骨):軟組織の濃度比は胎児と母親の両方でおおよそ 40 で あった(Jacobsen et al. 1978)。

ストロンチウムはヒトで母乳中に入り、授乳期間で新生児に移行され得る (Harrison et al. 1965)。12人の健康な女性の母乳中のストロンチウム濃度は 74 μg/L(range, 39~93)と測定され、Sr:Ca濃度比は 0.24 μg Sr/mg Ca であった(Harrison et al. 1965)。微量元素の輸送に関する実験で、出産 3日後までの期間の29人の健康な女性から採取した初乳サンプル中のストロンチウム濃度は、出産 20 分前に採取された静脈血から分離した血清中の濃度と同程度であることが示された(Rossipal et al. 2000)。一方、能動輸送の指標となる初乳中のカルシウム濃度は、母体血清のレベルを超えて、顕著に増加していた。ストロンチウムの輸送は主に濃度勾配作用機構に基づいている、と Rossipal らは結論づけた。動物を用いた多くの研究は、授乳期間での母乳から新生児へのストロンチウム移行に関する更なる証拠を示している(Hopkins 1967; Jacobsen et al. 1978; Kostial et al. 1969b; Rönnbäck et al. 1968)。授乳 14 日目から 16 日目の期間、飲水にトレーサー濃度の 85Sr を経口曝露させた授乳ラットにおいて、2 日曝露終了後の 24 時間、授乳した児動物から摂取量の約 5%が回収された(Kostial et al. 1969b)。放射性ストロンチウムの腹腔内投与を受けた授乳マウスの実験で、授乳した児動物のストロンチウムレベルは母動物のレベルの約 20%であった(Rönnbäck et al. 1968)。もし経口摂取量の約 25%が母動物に吸収されたと仮定するのであれば、これらの結果は経口曝露実験と一致している(Kostial et al. 1969b)。授乳マウスとその児動物におけるストロンチウムの組織分布は、母動物に腹腔内投与した後、授乳期間中は似ていることが分かった。骨中の濃度は肝臓や腎臓より約 1,000 倍高かった(Jacobsen et al. 1978)。授乳 5日後の児動物の頭蓋冠のストロンチウム濃度は、母動物の約 3倍である一方、長骨での濃度は児動物と母動物で同程度であった(Jacobsen et al. 1978)。母動物と児動物の骨濃度の違いは、児動物 における相対的に高い骨形成率と、それに関連した新しい骨へのストロンチウムの取込みを反映しているのかもしれない。

③排泄
ストロンチウムの長期(数十年)の排出は、ロシアの Techa 川地域でプルトニウム生産工程において核分裂生成物が流出した後、この地域でストロンチウム曝露を受けた人々について調査されてきた。男性 361 人と女性 356 人の母集団で、全身の排出半減期は男性で 28 年、女性で 16 年と評価された (Tolstykh et al. 1997)。男女で評価された排出速度の差の大部分は、50代以降の女性で排出速度が顕著に増加することによるものであった。この増加はおそらく、更年期後の女性で起こりやすい骨吸収の増加を反映している。Müller ら(1966)は 56人の radium dial painter におけるストロンチウムの長期排出半減期は、近似値の 25年と推定した。二人の dial painter で、ストロンチウムの長期排出半減期は 9年と推定された(Wenger and Soucas 1975)。ストロンチウムの長期排出半減期の評価は、主として骨におけるストロンチウムの蓄積と放出を反映する。曝露後の短期間にわたって、より速い排出速度が観察された。この排出速度は骨に存在するより急速な交換性ストロンチウムプールからの排出と同様に、軟組織の排出を反映したものである。85Sr のトレーサー投与による全身の排出が 9 被験者で 42~108 日の期間で測定され、平均排出半減期は 91日(±32, SD)であった(Likhtarev et al. 1975)。SrCl2を単回経口投与された 3 人の健康被験者で、13 日にわたって評価された平均全身排出半減期は 2日(30%)と 59日(70%)だった(Uchiyama et al. 1973)。
類似した短期排出速度は SrCl2の静脈内投与後、数日から数週間で観察されている(MacDonald et al. 1965; Newton et al. 1990)消化管から吸収されたストロンチウムは主に尿と便中に排出される。
Radium dial 従事者で観察された尿:便の排出比 3は、SrCl2の静脈内投与された被験者グループで、投与後数日から数週間で観察された比率2~6と一致する(Bishop et al. 1960; Blake et al. 1989a, 1989b; Likhtarev et al. 1975; Newton et al. 1990; Samachson 1966; Snyder et al. 1964; Uchiyama et al. 1973)。すなわち、尿は吸収されたストロンチウムの主要な排出ルートであると思われる。経口曝露後の数週間から数十年、もしくは静脈内投与後の短期間にわたる放射性ストロンチウムの便への排出観察は、吸収されたストロンチウムの胆汁から、あるいは直接血漿から消化管へ輸送するメカニズムの存在を示唆している。血漿から腸へのストロンチウムの直接分泌の証拠が動物実験で示された。入手できる情報では、ストロンチウムの便中排出に寄与しうる胆汁の排出の程度を議論していない。

吸収されたストロンチウムは授乳期間中、母乳に排出される。12 人の健康な女性の母乳中のストロンチウム濃度は 74 μg/L(range, 39~93)と評価され、Sr、Ca 濃度比は 0.24 μg Sr/mg Ca と評価された(Harrison et al. 1965)。

(7)ヒトへの影響
① 慢性影響
a. 死亡
1949~1956年の間に飲料水中及び食品中の放射性ストロンチウム及び放射性セシウムに曝露された Techa川の集団において、白血病及び固形がんで死亡した数が増加したと報告された(Kossenko 1996)。曝露群では、標準化死亡比が 100,000 人当たり 140(95% CI: 131~150)であったのに比べ、追跡調査期間(1950~1982年)における対照群では 100,000 人当たり 105(95% CI: 101~109)であった。試験群における赤色骨髄への吸収線量は 17.6~164 rad(0.176~1.64 Gy)であった。がん死亡率の増加は、曝露されたヒトの子孫には見られなかった。

b. 全身への影響
(a)血液学的影響
ヒト及び動物の試験において、血液学的な有害作用は、骨への放射性ストロンチウムの取込みに伴う(骨髄における)ベータ線と関係があった。
外部からのガンマ線と内部からの90Sr と 137Cs による放射線に慢性的に曝露された Techa川流域の人々は、白血球の減少、血小板の減少及び顆粒球の減少など血液学的指標の変化が認められている(Akleyev et al. 1995)。これらの影響は骨髄に対し年間 30~50 rem(0.3~0.5 Sv)を超える割合で放射線量を受けた一部の人々で認められた。

(b)筋骨格への影響
放射性ストロンチウムへの経口曝露による骨格への影響は、ヒト及び実験動物において報告されている。主に関節及び関節周囲の組織に影響を及ぼすような骨格の栄養失調による障害が、食物や飲料水に混入した放射性ストロンチウム及び他の放射性核種に慢性的に曝露された Techa川流域の人々において認められた(Akleyev et al. 1995)。骨格障害の罹患率は、骨の表面における平均線量が 200 rem(2 Sv)を超えている場合に有意に高かった。

c. 免疫及びリンパ組織への影響
免疫学的な変化は、Techa 川の集団において報告されており、この集団は1949~1956年にかけて90Sr及び137Csからのγ線により慢性的な外部及び内部被ばくをした。(Akleyev et al. 1995)。免疫系への障害としては、分化 T細胞による抗原提示の減少、T-lymphoblast 形成の減少、large granulocyticlymphocytes の減少が含まれ、30年間持続した。年間 30~50 rem(0.3~0.5 Sv)を超える放射線を骨髄に受けた集団の一部においては、顆粒球減少症が発生した。Akleyev ら(1995)は、放射線誘発性免疫不全は、集団曝露における白血病の発症率の高さに寄与している可能性を示唆した。免疫不全の臨床的所見としては、放射線に曝露されたがん患者における感染症(慢性肺炎、慢性気管支炎、肺結核の発生率及び骨髄炎)の発症が、非腫瘍性の患者グループに比べて3倍増加していた。

d. 神経系への影響
神経系疾患(脱力感、無気力、疲労)が、1949~1956 年にかけて90Sr 及び 137Csからのγ線により慢性的な外部及び内部被ばくにさらされたTecha川の集団において報告されている(Akleyev et al.1995)。慢性的に年間 40~50 rem(0.4~0.5 Sv)以上の割合の線量において、神経への影響が観察され、曝露集団においては 14~20年間持続した。しかしながら、ストロンチウムによる放射線量が、γ線による外部被ばくによるもの比べて、神経への影響にどの程度寄与しているかは明確ではない。

e. 生殖への影響
1949~1956年にかけて90Sr及び137Csからのγ線により慢性的な外部及び内部被ばくにさらされた Techa川の集団において、生殖への影響の統計学的に有意な報告はされていない(Kossenko et al.1994)。生殖腺に主に外部からのγ線により 74 rem(0.74 Sv)の平均線量を受けた集団においては、出生率、受精率、自然流産の発生率には影響しなかった(Akleyev et al. 1995)。子宮外妊娠の発生は線量との関連はなかった。これらの結果について、曝露は様々な線源から受けており生殖腺への線量のうち放射性ストロンチウムからの寄与は小さいと思われる。

f. 発生への影響
1949~1956年にかけて90Sr及び137Csからのγ線により慢性的な外部及び内部被ばくにさらされた Techa川の集団において、発生への影響についての報告はほとんどされていない(Kossenko et al. 1994)。生殖腺に対して主にγ線による 74 rem(0.74 Sv)までの外部被ばくを受けた女性のコホート研究においては(Akleyev et al. 1995)、放射性ストロンチウムによる線量割合は特
定されていないが、おそらく相対的に小さいものとされる。自然流産、流産、死産の発生数の増加は確認されなかった。しかしながら、曝露群の後代では、対照群と比較して、染色体欠損並びに先天性の神経系、循環器系及びその他の特定されない異常による乳幼児死亡率のわずかな増加がみられた。これらの異常及び分娩合併症による死亡、並びに出産前後期の詳細不明の死亡を考慮すると、生殖腺に 11 rem(0.11 Sv)の線量を受けた親の子では、死亡率が曝露を受けていない対照群に比べ 2倍となった。Kossenkoら(1994)は、自然流産、流産、早期新生児死亡及び致死的な発達影響を対照群の 2倍引き起こす生殖腺線量は、別のエンドポイントに対する 20~480 rem(0.2~4.8 Sv)の範囲よりも高いと試算した。

g. 発がん性
疫学研究では、放射性降下物からの放射性ストロンチウムの経口摂取とヒトの発がん性には関連が少ないもしくはないという結果がでている。Danishがん登録を使った疫学研究によると、1943~1988 年の間のデンマークにおける甲状腺がんの事例と、放射性降下物からの 90Sr の骨格への吸収には関連がないという結果がでている(Sala and Olsen 1993)。1959~1970年にかけてス
コットランドのグラスゴーにおける 90Sr のモニタリングプログラムで収集されたデータを使用した他の疫学研究では、白血病、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、すべての小児がん及び骨腫瘍について三つのコホートが同定された(Hole et al. 1993)。三つのコホートには、1963~1966年に生まれたハイリスク群(若齢で放射性降下物、すなわち 90Sr に高レベルに曝露)、1959
~1962 年に生まれた中程度リスク群(高齢で高レベルに曝露)、そして 1966年以降に生まれた低リスク群がある。すべてのがん、白血病及び非ホジキンリ ンパ腫そして急性骨髄性白血病の累積発現率はすべて、1982 年以前生まれた子供に対する長期的(進行性、非循環的な)増加傾向を示している。しかしながら、当該研究は白血病及び非ホジキンリンパ腫又は急性骨髄性白血病といったがんすべてについて、放射性降下物(放射性ストロンチウム)の高曝露時期に生まれたコホートに対するリスクを増加させたという証拠には至っていない。骨腫瘍の数例が、高リスク期間に生まれた子供に対して統計的に優位でない増加を示している。

対照的に、核兵器施設から Techa 川への放出により汚染された飲料水及び食品に曝露された住民は、白血病症例の著しい増加が示されている。 (Kossenko 1996;Kossenko et al. 1997、2000、2002)。推定骨髄放射線量が 10 rem(0.1 Gy)を超えると個体群に過度の白血病(10,000 人年 Gyにつき 0.85 件増加(95%Ci:0.2;1.5))が確認され、白血病による致死リスクは放射線量の増加により増加する(Kossenko 1997、2002)。この研究結果は、Techa 川のコホートにおける 90Sr の体内負荷量が同時期の放射性降下物関連の曝露より 100 倍以上高いことと関連している(Shagina et al. 2000)。Techa川コホートの子孫において発がん率の増加は確認されていない(Kossenko 1996)。

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「原子力資料情報室」より
http://www.cnic.jp/knowledge/2590

「体内摂取されると、一部はすみやかに排泄されるが、かなりの部分は骨の無機質部分に取り込まれ、長く残留する。
成人の体内にあるストロンチウムの量は320㎎である。
1960年代前半・・・当時の日本人は1日に約1ベクレルのストロンチウム-90を取り込んでいたと推定されている。」


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